園長のひとりごと
こどもたちをみつめてー2024年ー
2024年4月
2年目に突入したえみの森。全園児32名と職員15名、学童クラブも33名と職員3名で、元気に始まりました。こども達がどんな育ちを見せてくれるのかとても楽しみです。
すでに進級への期待でわくわくのこどもたち。そのそばで職員達もなんだかとてもうきうきしながら新年度の準備に勤しんでいます。子どもへの声掛けやまなざしも優しくて、これもまた嬉しくなります。きっと「いま遊べ 未来につながるこの瞬間」を保育理念とする保育の真髄を理解して、子どもたちの心に添いながら育ちを真剣にサポートしていくことでしょう。
子どももひとりの人間。子どもの権利条約の「4つの原則」の一つとして『子どもの意見の尊重(子どもが意味のある参加ができること)』があります。『子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。』と記されています。
こども自らが遊び込めるように環境を整えるのが大人の役割で、工夫しながら豊かな毎日にしていくのが子ども自身です。夏の暑さの対策もすでに計画済み。野菜の栽培もがんばるぞ,自転車の免許がんばるぞと、子どもたちの期待が感じられ、施設長としてとても嬉しい春です。
惜しみながら解体を迎える永慶保育園園舎。雪が降る前に解体作業を終える計画でおります。その前に園舎内をみんなで掃除して感謝し、子どもたちの心に園舎の思い出を刻む機会を作りたいです。掃除の日は保護者の皆様とご一緒できたらなと思います。その他に地域の皆様とも様々な事を行いながら、東由利地域の豊かさを確認していきたいな…、もっとつながりを深めていけたらな…、一生懸命遊ぶ子どもたちの姿を見て、私たち大人も元気をもらいたいな…。やりたいことが溢れてきますが、職員と共にぜひ行動に移したいものです。 まずは2年目のえみの森を、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
認可保育園えみの森 園長 畑山玲子
2024年5月
お約束の木製遊具の造り直しに取りかかります。業者さんの出入りが多くなると思いますので、送迎の際はお気を付け下さい。保育中も十分気をつけます。
小川のそばの大きな石がいつの間にか場所移動しているし、土の上に敷いているマットも整えてもいつの間にか無残にめくれている。虫探しの子ども達の仕業だ。元に戻してくれないかな…と思っても、あの輝く目に惑わされぐっと飲み込んでしまっていた。一方、「遊び終えたら次の人のために片付ける」のルールも、夢中で遊んでいるとそれもなかなかできないのも、うん、わかるのよね…。しかし最近大変な現場を目撃。手に持っているおもちゃを歩きながら平気で床にぽとり、自分じゃ無いとしらを切って別の遊びへ駆け出す年長児。片付けどころか、それは後でまた自分が遊ぶから誰も遊ばないで!!と、これも年長児…。これじゃ年長児をあこがれとする小さい子への示しもつかない。やっぱり窮屈でも石は戻しマットの敷き直しを提案し、それをきっかけにして考えてもらおう、と思っている。 さて、連休あけにいよいよ年長児の自転車運転免許証の試験が始まる。免許はすんなり取れても約束事がいくつかあって、それを守らなければ免停もありえる。過去にルールが守れず免停の子は何人もいた。ある保護者さんから「それはかわいそう」と苦情のごとく指摘されたが、譲らなかった。免停になっても再試験で再び免許はもらえる。しかし3度続くとさすがに免停期間は一ヶ月以上続く。これをかわいそうと見るか、ルールは守らないとねと家庭内で話し合うか、さて皆さんはどうお思いでしょうか。ぜひ後者であって欲しいと願っています。 園長 畑山玲子
2024年 6月
2024年 7月
2024年 8月
2024年 9月
2024年 10月
2024年 11月
こどもたちを見つめて ー2023年ー
2023年4月
令和5年4月1日。ついに統合園えみの森が開園しました。全園児38名と職員18名。同じく統合したえみの森学童クラブは登録人数が35名と職員3名です。東由利に一つだけの未就学施設。ここがまさに子育て支援の中心になります。永慶保育園・みどり保育園の職員が、こどもたちがどんな反応を示してくれるのか想像しわくわくしながら遊びの環境を整えて来ました。
お天気に恵まれた4月3日、やや緊張しながら登園してきた子が多かったのですが、お友達の姿を見つけたとたん、遊びの輪の中にすんなり入る事ができ保護者さんも安心して職場に向かったのでは無いかと想像しました。
「いま遊べ 未来につながるこの瞬間~ここに生まれてよかった 本物の自然の中でたくましく育て」を保育理念とし、この地域ならではの保育を展開していきます。まずは遊び込むこと。遊んで遊んで、遊びまくって、その中からこども自身が感じて考えて「人と関わる力」「自分の思いを表現し人の気持ちにも寄り添える心」「あきらめずにやり抜く力」を育てていきます。子どもたちが日々どんな姿で遊びまくっているのか、ぜひ見にいらしてください。しかも、子どもたちから元気をもらうことができますよ。
まずはえみの森、元気にスタートしました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
認可保育園えみの森 園長 畑山玲子
2023年5月
永慶保育園・みどり保育園どちらのこどもたちも保護者の皆様も、誰もが不安に思いながら迎えたであろう「えみの森」開園初日の朝。不安な心で玄関に足を踏み入れたこどもたちが遊戯室の遊びのコーナーを見た瞬間に瞳を輝かせるのを見た。職員の設置した遊びのコーナーに興味を持ち、すんなりと遊び始めてくれた。まずは第一関門突破。 ずいぶん前から顔写真を貼って覚えようとしたこどもたちの名前。しかし「えーと…お名前誰だっけ?」と職員のみんなが撃沈。しかし、2週間もしたらさすがにみんながみんなを覚えた。やっと第2関門突破。
4月は『本当の自分を見せてもらおうよ月間』とし、子どもたちの思いをできるだけ尊重して自由に過ごしてみた。箍(たが)が外されたようにやりたい放題のこどもたちの行動だったがそれは想定内。最初から生活のルールを教え込み慣れさせていくのは近道でいかにも落ち着いた生活に見える。しかしなぜそのルールがあるのかがわからず大人の指示に従うことを早くに覚えてしまうと、指示が無いと不安になってしまう。遠いところに置く大きな目標として『自分の人生を切り拓いて生きていける心のたくましさ』を願う私たちは、時間は掛かるが社会生活の入り口である保育園として責任を持って接していきたいとおもう。ルールが必要な事を理解すればこどもたちは応用しながらしっとりと過ごすようになるはずだ。夏を迎える頃にはおそらくその年齢なりの確かな成長を見せてくれるに違いない。それまでは職員もがまんがまん。それはダメ!!と頭ごなしに制止したい気持ちを春の空気とともにぐっと飲み込んで、ていねいに関わりながら、こどもたちの興味津々の瞳の輝きを最大のエネルギーにしてがんばっていきたいものだ。 園長 畑山 玲子
2023年6月
5月も後半になって園内の空気感も徐々にしっとりしてきている。そんなこどもたちの行動に合わせ少しずつ生活のルールを職員間で確認し合っている。それ、最初からするべきでしょ!とのお叱りを受けそう。しかし本当の姿を見せてもらったからこそできる対応だと思っている。生活の仕方も少しずつ変えている。適量の玩具、遊んだモノの戻し方、食事の場所、食後の過ごし方、昼寝の対応(年長児は寝ることを強要せず遊戯室で静かな遊びも可能だ。個々の気持ちに添っていきたい。)こどものやる気に添う遊びの提供など。 その一つが最近始まった年長児の自転車運転免許試験。試験科目の中には生活のルールを守ることも入っている。取得後のルール違反は大人と同じで免許停止もあり得る。自ら気持ちのコントロールができてくる年長児ならではの活動だ。免許取得はもちろん個人差があり恐らく取得時期は大きな開きが生じるはず。しかしその差は能力の高低ではないことを理解してもらいたい。むしろ興味の有無が大きく関わるので、自転車よりもやりたい遊びがあったらそちらに向かうことでしょう。目的は免許を取ることではなく、興味のあるものに最後まで向かえる心の醸成です。励ましすぎず、落胆せず、こどもたちのやる気が出るのを待ち続けたいものです。
試験官の私に「試験お願いします」と来たら最優先の仕事として年長さん個々に対応するつもりで心の準備を整えている。
2023年7月
遊戯室から「せんせい、むしいるー!!」の叫び声が聞こえたのでこんな声で叫ぶくらいなら相当珍しい虫にちがいないと予測して駆けつけてみると、そこにいたのは、ハエ。確かに虫には違いないがこんなに身近な昆虫を「むし」と呼ぶことに軽く衝撃を受けた。専門的な知識を植え付ける必要は無いが、せめて子どもの活動的な時間に1番身近にいる私たちは一般的な表し方をしなければと思った。「メダカが餌を食べているね」「サルビアがきれいだね」「ピーマン採ってこようか」のように自身がわかる範囲で。「むしいるー!」と言われたらそれを否定せず「ほんとだ。ハエ飛んできたね。」くらいは返してあげたいものだ。
名前といえばとても面白いことがもう一点ある。自分をちゃん付けで呼ぶ子どもたちはなぜか圧倒的に女の子が多いこと。自分を「くん」付けする男の子がいないわけでは無いがそうそうお目にかかれない。その女の子たちも何かのきっかけか「ちゃん」を無くした名前で表したり「わたし」と言うようになるのだが、そのきっかけは何なのか注意深く見てみたい。 長新太:絵、谷川俊太郎:文の「わたし」という絵本があるが、主人公の「わたし」は親から見るとむすめ、先生から見ると生徒など、相手との関係性によって「わたし」の呼ばれ方が変わっていく様子がシンプルに描かれた興味深い絵本。今日のようなこんな気分の時にはつい手にとってしまう絵本です。
2023年8月
小学校の夏休みが始まり朝から学童クラブの子どもたち約20人が登園。縁側で検温後学童の保育室へ。涼しいうちに宿題をしその日の分を終わらせた人から遊戯室で遊ぶその流れが、子どもたちには好評だ。朝のうちに宿題を終わらせることがそのあとの遊びや体験にゆったりとした気持ちで入れるので、とてもにこやかだ。何と言ってもみんなで話し合って決めたこの夏休みの目標は「楽しい夏休み!W(わら、って言うらしい)」。映画館やパソコン、手仕事遊び、ちょっとぜいたくな製作あそびなど、工夫がいっぱい。しかし計画の中に学校等のプール体験は入っていず驚かれたことと思う。プールはぜひご家庭で連れて行ってもらいたいと節に願う。 プール遊びの危険について想像がつくだろうか。たいていの子どもはプールに限らず確かに水が好きで、水があると生き生きとして遊ぶ。
しかし仲間との遊びは楽しさと危険が常に隣り合わせでいる。はしゃぎ過ぎて危険な行為がどんどん、どんどんエスカレートしていく。水の中でたわむれ、はしゃぎ、もぐりっこの競争を始め、遊びの一つなのだろうが終いには他の子の頭を押さえつけて沈めようとする行為まで。支援員がいくら止めても水の中のそれらは無くならなかったと、昨年までの様子について支援員は話す。 ずいぶん弱気だと思われても仕方が無いが統合の今年は利用人数も多いなど懸念材料が多く、子どもの命を守りきれるのか自信が持てないことから、プールの事故を防ぐにはプールには行かないという決断をさせてもらった。子どもたちの大切な命を守る術は、中止しか無い事をぜひご理解いただきたい。それに変わる「楽しい夏休み!W」に向けここの環境を大いに活用し、たっぷりの遊び時間と貴重な体験を、工夫を凝らして行っていきます。プールは、ぜひご家庭でお願いします。
2023年9月
8月末にR5年度の県・市の指導監査通知が届く。保育内容の部分に「子どもの人権・人格を尊重しているか」が新たに加わり驚いている。身体的・精神的虐待やバス内の置き去り事件など保育施設内での事件を受けてと思われるが、その他にも日々の「子どもを尊重した保育」が重視されている。国連・子どもの権利委員会では、これまで「子どものために」と言いつつ子どもの思いを尊重せず大人が一方的に決めていたことの反省をあげているが、それを私たち保育現場に迫っているようにも感じる。 折しも今えみの森では職員全員でその点について確認し合っている最中だった。「子どもを尊重した保育」か否かは具体的にどんなシーンなのか。
例1)食事の前に排泄したらゆっくり食事ができるだろうとトイレに誘う職員。しかし子どもは「今は出ない!」と主張。その後食べている途中に漏らしてしまった。
「ほら、だから先生が言ったときに行けば良かったのに!」と、これ見よがしに他の子に聞こえるように言って傷付けるのか、「あらら…さっきは出ないと思ったのに今おしっこ出たくなったのね。」とそっと他の子に気づかれないように取り替えてあげるのか。
例2)大好きな外遊びがまだ遊び足りず「もっと遊ぶ!!」と大暴れ。「もう終わりです!みんなと一緒に中に入る時間だよ!」と「みんなと一緒」を強要するのか、「時計の針が10を指したら給食の時間になるけど、どうする?」と子ども自身に時間の見通しを持たせるか。これだけでも子どもの考える力の育ちにつなげられる。
2023年10月
朝方の雨で東由利体育館での開催となったえみの森初の運動会。当日の朝は保護者会の役員の皆さんや東由利総合支所の方々が会場準備に汗を流してくださり、無事に開会の運びとなりました。皆様に感謝申しあげます。東由利地区内でのコロナ情報もあったため、換気や時短に努めましたが、開催のねらいとした「観るだけから参加型の運動会へ」は、プログラムも父・母などの限定を外し「大人」の表記にしたり、運動が苦手な子どもも大人もみんなが楽しめる運動会になるよう工夫してみました。ご来賓の皆様もゴールテープ係や時には審判になって戴き、それこそみんなが参加型。その中での1番の主役の子ども達も、思い通りにならなくて泣くことも先生の手を煩わすことも含め、普段通りのお子さんの姿を見せてくれたと思いました。とりわけ輝いていたのが年長児そら組12名の子どもたち。年齢的にも「良いところを見てもらうぞ!」の意欲は5歳児ならではの発達からくるものです。その様子を見ていた4歳児以下の子どもたちが間違いなく年長児から刺激を受けたので、来年度はどんな挑みかたをするのか楽しみなところです。
9月後半は休み無く誕生会が続きました。その日はその子だけの誕生会。朝から誇らしげに過ごすその日の誕生児を見ていると、どの年齢の子も一つ大きくなることへの誇りと共に自己肯定感の育ちを感じます。やっぱりひとり一人の誕生会を行う事には大きな意味を感じます。運動会でも皆さんから認められ、秋の実りと共に子ども達の確かな育ちを感じる嬉しい9月でした。 園長 畑山玲子
2023年11月
えみの森近辺にも熊出没情報がひんぱんになりつつあるなか、子どもたちの命を優先し外遊びの場所と時間を制限する日々を送っています。暑い夏に引き続き制限され、広い園庭で思う存分のびのびと遊べた時期がそう多くない今年ですが、仕方がありません。熊の怖さを子どもたちに伝えた時には私の伝え方がリアルすぎたのか、学童クラブの小学生でさえ泣いてしまった子がいるほど。こうなると山歩きや八塩山登山ももう無理ではないかと職員で話し合っているところです。 しかし秋の実りはさつまいも・里芋・はさがけ米・落花生など、園庭や畑での収穫で十分に実感できています。これからはネギ・大豆・小豆・大根とまだまだ収穫できます。子どもたちが嫌いなネギも、工夫次第では甘くて美味しい食事に変わります。収穫したものを使って野菜が美味しい食べものに変わっていく過程を、調理に携わりながら知っていく機会を作っていきたいと思っています。まさに生きる力にもつながりますよね。 厚労省から出されている「保育所における食事の提供ガイドライン」にも、子どもの成長・発達に合わせる、季節感を取り入れる、行事を通して食文化に触れる、など、多様で美味しいメニューの展開が求められています。一方でひとたび誤嚥の事故が起きる度に給食に提供できない食材が増えていくのは気になります。堅さや刻みも「これ離乳食?」と思えるほど細かな指示が国から出され、なおかつ咀嚼力をつけるように指導され…。誤嚥の事故はあってはならないけれど、きのこがきのこと気づかないほどの刻みかたを指示される中では、子どもたちの食生活が豊かになり得ない怖さを感じてしまいます。園長 畑山玲子
2023年12月
「そこに愛はあるんか?」でおなじみのCMを見る度に必ず思い出す先生がいる。愛知県にお住まいの飯田和也先生は、笑顔の素敵なそれこそ愛にあふれている先生で、この園にも何度かおいでくださりご指導くださった保育にかけての第一人者だ。多くの著書の中で代表するものとして「一人ひとりを愛する保育」があるが、この本を読むと心がほっとする。
子どもがやること全てをどうぞご自由にとさせることは放任だ。しかし発達を見抜き愛をもって見守っていくことで、その行為を止めるべきか認めるべきかがその子の成長の理解とともに面白いほど見えて来る。子どもの行動には必ず理由があって「困った行為」に見える事も実は本人が「困っているサイン」であることにも気づく場合が多い。大人側の思い通りに子どもを支配する保育の中からは、到底わかり得ないことだ。大人の指示に従い続けることで主体性が徐々に削られていく怖さを職員みんなで確認し続けて行きたい。
先日行われた「おたのしみはっぴょうかい」では、教え込まれるのでは無く自分なりの表現を楽しむ子どもたちと、それを十分理解して認めている職員の姿が随所に見られた。そしてそこにはたしかに飯田先生のおっしゃる愛が感じられた。
著書の中にこんなフレーズがある。「『がんばってもがんばってもできない。もうこれ以上はダメ。もう助けてほしい。』といったサインをだしているときに励まされることほど、『やるせない』と子どもは感じていることを理解することです。」 園長 畑山玲子
2024年1月
所用でお昼に出勤したその日、よく職員室にやってくる3歳児が「園長先生いなくて心配してたよ」と。3歳にしてその優しさを言葉で伝えられることにも驚く。
4月に統合した頃から夏ごろまでは「永慶保育園ではね…」とえみの森との違いを比較して語る4・5歳児がいた。そして「また永慶保育園で遊びたいな…」と続く。それから数か月。最近その言葉はあまり聞かれなくなり、逆に「えみの森がほんとに好きになった」と言ってくれる。どこが好きなのか探りを入れると「おもちゃがいっぱいある」「先生があんまり怒らない」「いっぱい遊べる」「友だちをテレビ(監視カメラのモニター)で見られる」など。
子どもたちが事務室に自由に出入りできるえみの森。やや保健室的なところもあって、心の休息にやってきたり、ちょっとした逃げ場になっているのを感ずる時もある。重要な書類が出ていたり来客で入られないときはあるものの、上記のこどもたちの素直な気持ちが聞かれることや、事務室ならではの成長が見えることに、やっぱりこれは辞められない。メダカのエサやりを率先してやる子、ヘラクレスオオカブトの健康状態を見にくる子、ふらっと一回りして私の机の上のラーメンのペーパーウエイトを見て出て行く子。そのひとり一人の気持ちの奥底を覗かせてもらいながら、今年度残りの3か月、事務室にいるからこそのの特権として、こんな豊かな時間を楽しみたい。 園長 畑山玲子
2024年2月
雪穴のローソクの灯りってなぜこんなに人の心を癒やしてくれるのかな…。雪不足の中でも用務員さんの力を借りて根性でおこなった今年のミニかまくら。ローソクの回廊に歩を進めると、日の入りと共に暖かみのある色に変わっていく灯りと子ども達の歓声に心地よく包まれた。
旧みどり保育園でミニかまくらを始めたのは平成の中頃だったと思う。この年が始まりと言えないほどのささやかな始まりだった。最初は水神様をまつる小さなかまくら一つが玄関先にあっただけ。年おうごとに雪の壁に穴を掘ったミニかまくらの数が増えていき、手作りローソクを作るようになり,その数も増やしていった。大人の背丈を超えるほどの雪が当たり前だった。平成の終盤には甘酒のふるまいも定番になり、地域の方々も見に来てくれるようになった。「この甘酒さ、砂糖なんぼ入ってる?」と聞かれるほど、松沢の小松真子さんの甘酒は甘くておいしい。もちろん砂糖は入っていない。
ここまでミニかまくら続いているのは、そこにたしかな願いがあるからだ。ミニかまくらの灯りや甘酒、そして普段は外遊びをしない夕刻の薄闇の中での非日常のひととき。これらが子どもたちの心の中に「郷土愛」としてつながる大切なものが芽生えると,私たちは信じているからです。 園長 畑山玲子
2024年3月
ちびっこハンター(笑)の襲撃から守るため事務室で飼われているヘラクレスオオカブト。興味のある子ども達が毎日観察にやってきては様々な声掛けをしていく。ごはん食べた?何色のゼリーがすき?まだ眠いの? ケースをつつきながら元気度を確認している。手のひらに乗せている子もいたが、強力なあごは噛まれたら指に穴が空くらしいので、遠慮してもらっている。常連の子が“告白”していた。 『ヘラクレスってかわいいな~ だいすきだよ ぼく ヘラクレスのことをかんがえると からだがふるえてくるんだよ だからまいにちあいにくるね』 数ある図鑑や絵本、テレビ・PC・スマホのディスプレイからは読み取れない,本物からの感動をその子は毎日感じているに違いない。園児でも興味のあることを調べる手段を持ち合わせ、知識欲に応えてくれる便利な世の中になった。そこに本物に触れる機会の体験でもっと心の感動につながるはず。
令和5年度は異常な暑さの夏、熊出没の情報、両園とも経験の無かった感染症の連続などに翻弄され、本物に触れたいという子どもたちの願いに十分に応えることができなかった。多くの園外活動も計画倒れを余儀なくされた。令和6年も暑い夏の予報が出ているが、予想外れを願いつつも今から十分な対策を考えなくては。
まずは今年度も残り一ヶ月。子どもたちにとって充実した一ヶ月にしなくては。
園長 畑山玲子