園長のひとりごと
こどもたちを見つめて ー2023年ー
2023年4月
令和5年4月1日。ついに統合園えみの森が開園しました。全園児38名と職員18名。同じく統合したえみの森学童クラブは登録人数が35名と職員3名です。東由利に一つだけの未就学施設。ここがまさに子育て支援の中心になります。永慶保育園・みどり保育園の職員が、こどもたちがどんな反応を示してくれるのか想像しわくわくしながら遊びの環境を整えて来ました。
お天気に恵まれた4月3日、やや緊張しながら登園してきた子が多かったのですが、お友達の姿を見つけたとたん、遊びの輪の中にすんなり入る事ができ保護者さんも安心して職場に向かったのでは無いかと想像しました。
「いま遊べ 未来につながるこの瞬間~ここに生まれてよかった 本物の自然の中でたくましく育て」を保育理念とし、この地域ならではの保育を展開していきます。まずは遊び込むこと。遊んで遊んで、遊びまくって、その中からこども自身が感じて考えて「人と関わる力」「自分の思いを表現し人の気持ちにも寄り添える心」「あきらめずにやり抜く力」を育てていきます。子どもたちが日々どんな姿で遊びまくっているのか、ぜひ見にいらしてください。しかも、子どもたちから元気をもらうことができますよ。
まずはえみの森、元気にスタートしました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
認可保育園えみの森 園長 畑山玲子
2023年5月
永慶保育園・みどり保育園どちらのこどもたちも保護者の皆様も、誰もが不安に思いながら迎えたであろう「えみの森」開園初日の朝。不安な心で玄関に足を踏み入れたこどもたちが遊戯室の遊びのコーナーを見た瞬間に瞳を輝かせるのを見た。職員の設置した遊びのコーナーに興味を持ち、すんなりと遊び始めてくれた。まずは第一関門突破。 ずいぶん前から顔写真を貼って覚えようとしたこどもたちの名前。しかし「えーと…お名前誰だっけ?」と職員のみんなが撃沈。しかし、2週間もしたらさすがにみんながみんなを覚えた。やっと第2関門突破。
4月は『本当の自分を見せてもらおうよ月間』とし、子どもたちの思いをできるだけ尊重して自由に過ごしてみた。箍(たが)が外されたようにやりたい放題のこどもたちの行動だったがそれは想定内。最初から生活のルールを教え込み慣れさせていくのは近道でいかにも落ち着いた生活に見える。しかしなぜそのルールがあるのかがわからず大人の指示に従うことを早くに覚えてしまうと、指示が無いと不安になってしまう。遠いところに置く大きな目標として『自分の人生を切り拓いて生きていける心のたくましさ』を願う私たちは、時間は掛かるが社会生活の入り口である保育園として責任を持って接していきたいとおもう。ルールが必要な事を理解すればこどもたちは応用しながらしっとりと過ごすようになるはずだ。夏を迎える頃にはおそらくその年齢なりの確かな成長を見せてくれるに違いない。それまでは職員もがまんがまん。それはダメ!!と頭ごなしに制止したい気持ちを春の空気とともにぐっと飲み込んで、ていねいに関わりながら、こどもたちの興味津々の瞳の輝きを最大のエネルギーにしてがんばっていきたいものだ。 園長 畑山 玲子
2023年6月
5月も後半になって園内の空気感も徐々にしっとりしてきている。そんなこどもたちの行動に合わせ少しずつ生活のルールを職員間で確認し合っている。それ、最初からするべきでしょ!とのお叱りを受けそう。しかし本当の姿を見せてもらったからこそできる対応だと思っている。生活の仕方も少しずつ変えている。適量の玩具、遊んだモノの戻し方、食事の場所、食後の過ごし方、昼寝の対応(年長児は寝ることを強要せず遊戯室で静かな遊びも可能だ。個々の気持ちに添っていきたい。)こどものやる気に添う遊びの提供など。 その一つが最近始まった年長児の自転車運転免許試験。試験科目の中には生活のルールを守ることも入っている。取得後のルール違反は大人と同じで免許停止もあり得る。自ら気持ちのコントロールができてくる年長児ならではの活動だ。免許取得はもちろん個人差があり恐らく取得時期は大きな開きが生じるはず。しかしその差は能力の高低ではないことを理解してもらいたい。むしろ興味の有無が大きく関わるので、自転車よりもやりたい遊びがあったらそちらに向かうことでしょう。目的は免許を取ることではなく、興味のあるものに最後まで向かえる心の醸成です。励ましすぎず、落胆せず、こどもたちのやる気が出るのを待ち続けたいものです。
試験官の私に「試験お願いします」と来たら最優先の仕事として年長さん個々に対応するつもりで心の準備を整えている。
2023年7月
遊戯室から「せんせい、むしいるー!!」の叫び声が聞こえたのでこんな声で叫ぶくらいなら相当珍しい虫にちがいないと予測して駆けつけてみると、そこにいたのは、ハエ。確かに虫には違いないがこんなに身近な昆虫を「むし」と呼ぶことに軽く衝撃を受けた。専門的な知識を植え付ける必要は無いが、せめて子どもの活動的な時間に1番身近にいる私たちは一般的な表し方をしなければと思った。「メダカが餌を食べているね」「サルビアがきれいだね」「ピーマン採ってこようか」のように自身がわかる範囲で。「むしいるー!」と言われたらそれを否定せず「ほんとだ。ハエ飛んできたね。」くらいは返してあげたいものだ。
名前といえばとても面白いことがもう一点ある。自分をちゃん付けで呼ぶ子どもたちはなぜか圧倒的に女の子が多いこと。自分を「くん」付けする男の子がいないわけでは無いがそうそうお目にかかれない。その女の子たちも何かのきっかけか「ちゃん」を無くした名前で表したり「わたし」と言うようになるのだが、そのきっかけは何なのか注意深く見てみたい。 長新太:絵、谷川俊太郎:文の「わたし」という絵本があるが、主人公の「わたし」は親から見るとむすめ、先生から見ると生徒など、相手との関係性によって「わたし」の呼ばれ方が変わっていく様子がシンプルに描かれた興味深い絵本。今日のようなこんな気分の時にはつい手にとってしまう絵本です。
2023年8月
小学校の夏休みが始まり朝から学童クラブの子どもたち約20人が登園。縁側で検温後学童の保育室へ。涼しいうちに宿題をしその日の分を終わらせた人から遊戯室で遊ぶその流れが、子どもたちには好評だ。朝のうちに宿題を終わらせることがそのあとの遊びや体験にゆったりとした気持ちで入れるので、とてもにこやかだ。何と言ってもみんなで話し合って決めたこの夏休みの目標は「楽しい夏休み!W(わら、って言うらしい)」。映画館やパソコン、手仕事遊び、ちょっとぜいたくな製作あそびなど、工夫がいっぱい。しかし計画の中に学校等のプール体験は入っていず驚かれたことと思う。プールはぜひご家庭で連れて行ってもらいたいと節に願う。 プール遊びの危険について想像がつくだろうか。たいていの子どもはプールに限らず確かに水が好きで、水があると生き生きとして遊ぶ。
しかし仲間との遊びは楽しさと危険が常に隣り合わせでいる。はしゃぎ過ぎて危険な行為がどんどん、どんどんエスカレートしていく。水の中でたわむれ、はしゃぎ、もぐりっこの競争を始め、遊びの一つなのだろうが終いには他の子の頭を押さえつけて沈めようとする行為まで。支援員がいくら止めても水の中のそれらは無くならなかったと、昨年までの様子について支援員は話す。 ずいぶん弱気だと思われても仕方が無いが統合の今年は利用人数も多いなど懸念材料が多く、子どもの命を守りきれるのか自信が持てないことから、プールの事故を防ぐにはプールには行かないという決断をさせてもらった。子どもたちの大切な命を守る術は、中止しか無い事をぜひご理解いただきたい。それに変わる「楽しい夏休み!W」に向けここの環境を大いに活用し、たっぷりの遊び時間と貴重な体験を、工夫を凝らして行っていきます。プールは、ぜひご家庭でお願いします。
2023年9月
8月末にR5年度の県・市の指導監査通知が届く。保育内容の部分に「子どもの人権・人格を尊重しているか」が新たに加わり驚いている。身体的・精神的虐待やバス内の置き去り事件など保育施設内での事件を受けてと思われるが、その他にも日々の「子どもを尊重した保育」が重視されている。国連・子どもの権利委員会では、これまで「子どものために」と言いつつ子どもの思いを尊重せず大人が一方的に決めていたことの反省をあげているが、それを私たち保育現場に迫っているようにも感じる。 折しも今えみの森では職員全員でその点について確認し合っている最中だった。「子どもを尊重した保育」か否かは具体的にどんなシーンなのか。
例1)食事の前に排泄したらゆっくり食事ができるだろうとトイレに誘う職員。しかし子どもは「今は出ない!」と主張。その後食べている途中に漏らしてしまった。
「ほら、だから先生が言ったときに行けば良かったのに!」と、これ見よがしに他の子に聞こえるように言って傷付けるのか、「あらら…さっきは出ないと思ったのに今おしっこ出たくなったのね。」とそっと他の子に気づかれないように取り替えてあげるのか。
例2)大好きな外遊びがまだ遊び足りず「もっと遊ぶ!!」と大暴れ。「もう終わりです!みんなと一緒に中に入る時間だよ!」と「みんなと一緒」を強要するのか、「時計の針が10を指したら給食の時間になるけど、どうする?」と子ども自身に時間の見通しを持たせるか。これだけでも子どもの考える力の育ちにつなげられる。
子どもたちを見つめて ー2022年ー
2022年4月
なごりの雪がまだ残る園庭にも春到来の暖かな風が吹きわたる本日、3名の新入園児を迎え令和4年度がスタートしました。4月途中からは更に2人のお友達が入園予定で、18名での生活が始まります。保育の理念を「いま遊べ 未来につながるこの瞬間」とし、遊びの中からの学びを重要とする保育にて今後も特に郷土愛につながる体験を楽しんでいきましょう。洗濯物が増えても多少のほころびを作っても「よく遊んできたね!」と認めてくださるご家族のなかでは、きっと子ども達も十分に自己発揮できることでしょう。子どもからの毎日の報告を楽しみにしていて下さいね。
さて今年度は令和5年4月1日の施設統合を見据えてこの4月から少しずつ準備に入りますよ。永慶保育園のお友達との交流はいつもの年よりも多くなります。出向いたり迎えたり、多様な毎日になることでしょう。 コロナ禍で地域の皆様との交流もすっかりご無沙汰していた2年間でしたが、今年度は感染予防対策を工夫しながら、無理なくお付き合いできるようにしていきたいと考えています。 雪が融けたらさっそく地域の皆さんの憩いの場所を、旧ゲートボール場に設けます。と言っても園にあるテントを張るだけのスペースですが、そこから子ども達との交流をしていきましょう。お迎えのご家族もちょっと一休みできます。もちろん縁側もおおいに活用しましょう。作って食べる体験、知的好奇心を満たせる環境、終わりの時間にとらわれすぎない遊びの時間の確保。そのために私たちは子どもの思いに寄り添える保育者集団で居続けたいものです。さあ、みんなー、今年もいっぱい楽しむよ-! 園長 畑山玲子
2022年5月
新年度が始まって早くも1ヶ月が過ぎようとしていますが、毎年ながらこの時期は子ども達も職員も新年度の喜びと共に、実はちょっぴりそわそわしながらそれぞれの春を過ごしているのを感じます。大人の落ち着かなさを察してか大人の願いもむなしく子ども達は「困ったちゃん」になりがち。泣いたり妙に甘えたり、我を通そうとしたりお漏らしの回数やケンカが増えたり・・・。でもそれは当たり前のことで、やがて陰をひそめますからあまり心配せずに見守っていきたいものです。ただ、心配なことがあったらぜひお話しください。私たちができることは何でもお手伝いしたいし一緒に考えていきたいです。逆に私たちも「助けて」と保護者の皆様にお願いすることも出てくるかもしれません。今後もお互いに補い合える関係を続けていきましょう。
2022年6月
【「もうお家に帰ります!」と靴を履いて外に出ようとするA。追いかけるそぶりすら見せず「はい、どうぞ」と見送る担任。時は給食の時間。もちろんお迎えの人もいない。一旦外に出たAは担任が追いかけないことに不安を覚えたのかすぐに戻って来た。】これを「あらーかわいそう。先生たち冷たいね」と思われる方が大半でしょう。しかしこのシーンの前の出来事を知ると、どう思うでしょう。【食事を前にしても自分では食べようとせずふざけながら大人の手伝いを求め続ける。ま、そんな思いの時もあるだろうと、少しずつ口に運んで手伝いながらも、食具を使ってまずは食べてみようとすることを願う担任。方や何とかして全て食べさせてもらいたいAとの駆け引き開始。それからはAのマナー違反のやりたい放題が始まる。献立に文句を言いはじめしまいには立ち歩くAに、食べないなら食器を片づけることを促すと、文頭の行為に及んだ。】私たちが保育のねらいとする「生きる力」とは、周りの人を誰でも自分の言いなりになる人と見なし自分の思うように操ることを助長させることでは無い。自分のできることは自分でやっていくことに意味があり、そのちょっと窮屈なことや面倒くさい事の繰り返しにおいて相手のことも理解できてくるし、生きていく力もついていく。食事に限らず、挨拶、ものの片付け、友だちとのやりとり、これら全ては他の人とうまく折り合いを付けていく術を見に付ける学び。だから私たち保育集団は、時には「あらー、かわいそうだごと」と思われる行動に、敢えて出るときがあるのです。
2022年7月
やっと、ほんとうにやっと行うことのできた両園の保護者&子ども達の交流会。コロナも下火になった上、心配されたお天気も週間予報を覆して最高の園庭遊び日和となりました。両園の親子さんがみどり広場を楽しんでくれている様子が見られ、何よりの喜びでした。早くも名前を呼び合って交流しながら遊ぶ様子も見られましたね。永慶保育園の親子さんに関してはまだお名前もお顔も、そしてご家族の構成もよくわからない私ですが、園内に貼らせてもらった永慶保育園のお子さん達の顔写真を見ながら、一日も早く名前を覚えていく覚悟を決めました。
永慶保育園長と共に初めて皆さんに合併と統合をしなければならない理由を口頭でお伝えしましたが、おおむね御理解いただけたと思っております。今後はこれからの東由利の子ども達の教育・保育を保護者の皆さんと一緒に考え続けたいと思います。
いま日本の将来を考えたときに、未就学施設の教育の根幹として、第一に「子ども主体の保育」が挙げられています。子ども自ら遊び込むことから始まる「子どもの生きる力の育成」に、私たちも東由利の子育ての核となって取り組み続けたいと思います。認定こども園になるための秋田県幼保推進課からご指導を頂く研修が7月4日から始まりますが、合わせて今年度はみどり保育園に外部の方がおいでくださる機会が大幅に増えています。そんなときに誰からとも無く発する子ども達の「こんにちは!」が、元気な未来を表しているようで、最高です。
2022年8月
施設の統合とこれからの運営について細かなことが決まりつつあり、先日の法人理事会においては統合園の名前も決まった。恐らく賛否両論あるだろうが、毎日日中の活動的な時間を子ども達と共にしている両園の職員の思いを、ぜひご理解いただきたいと思う。『えみの森』になっても子ども一人一人の育ちを保護者と共に職員一同全員で考え続けて行きたい。
このところみどり保育園の環境で子どもを遊ばせてみたいという理由でおいでくださる親子さんが増えている。そんな時の子どもさんはまずは小川にて水遊びを始めるか田んぼの2Mほどの土手を下って蛙等をつかまえるか、カナヘビのすみかをくまなく探し回る。子どもはなぜか水と生き物にとても興味を示す。先日は形の違う器を並べて水を入れ替え「あれ?足りない。あれ?おかしい。」と言わんばかりに何度も試すお子さんがいた。きっとこの遊びは器と体積の関係について小学校の算数につながるに違いないね、とお母さんとお話ししたが、あながち間違ってはいないと思う。しゃがんでいたその子のお尻はすでに小川の中だったが、着替えがあるから大丈夫と笑顔で眺めていたお母さんの表情が優しかった。
コロナ感染の状態によってはお断りすることもあるが、縁側をベースにした外遊びを基本とする外部の方の来園を、ぜひお許し願いたいところ。毎日少人数で生活しているみどり保育園児にとっては見知らぬ人との会話や初めてであうお子さんとの遊びは社会性の育ちに大いに役立つので、これからも迷わず受け入れようと思っている
園長 畑山玲子
2022年9月
2022年10月
2022年11月
由利本荘市移住支援課の事業である「ゆりほん保育園遊学」にご参加の4組のご家族は、申し合わせたように「迷わず即申し込みました」「移住体験をしてみたかったのです」と。そして、子どもの力を信じ見守りながら生きる力を育てようとしているみどり保育園の保育を評価して下さった。東京にお住まいのご家族にとってはこの地域の農業体験も新鮮だった様子。都会の便利さと都会だからこその不便さをひとしきり語り続けたお父さんもおいでだ。逆に「東由利の皆さんがこの地の良さと豊かさに気づいていない気がする」と分析して下さった方もいる。いずれ、園長としては忙しい日々ではあったが楽しい1ヶ月間をすごさせてもらった。それぞれの人生観や子育て事情を語り合い、私たち職員にとっても視野を広げられ多くを学ぶ機会にもなった。短期間ではあったが新しいお友達ができた喜びで今までに見せることの無い社会性の育ちを表現した子もいた。
「また来たい」ではなく「また来ようかな」との言葉を残して皆さん日常に帰られたが、私たちは4組の皆さんが残してくれた言葉のピースを組み合わせ、自分たちの保育に足りないものを探しあて、今後の保育のヒントにしていくつもりだ。
園長 畑山玲子
2022年12月
教えられた通りに踊り台詞を言ったら「すご~い!上手だったよ!」と私たちは褒めたくなる。しかしここ近年のたのしみ会は重点を別に置き、自分の思いをいかに表現しようとするかを見届けている。大人から投げかけられた言葉を理解して自分の思いを語る。それらのつなぎ合わせで、見ている側は「劇遊び」を楽しみ、子どもは「ごっこ遊び、楽しかった」の思いを残して一つのものができあがっていく。
担任が一人の子に関わっている間に他の子ども達だけで大きなカブを抜き終わって大笑い。毎日のごっこ遊びが同じストーリーになったためしがない、行き先未定の遠足ごっこ。ジャングル探検と鉄棒の組み合わせで独自に「なまけもの」をしてみせるシーンはあっぱれだった。ストーリーキューブで一人ずつのお話しを紡いでいく、サイコロ任せの運命物語。得意な製作作品の工夫どころを自らの言葉で自信を持って伝えてくれた。どのクラスも紹介する担任とのやりとりが子ども達の自己肯定感を育てることに繋げられ、子どもと大人の信頼関係が抜群だったと振り返る。
私たち大人が経験の少ないグローバルな社会を生きていくであろう子ども達にとって、大人の指示を待ちレールの上を歩んでいくのか、臆せず自らの生き方を模索する人になれるのか、その分岐点が今にあるとしたら、子どもにとって社会の最も身近にいる私たちの責任は大きい。そのために私たち職員が自ら手本になれるよう、自らの考えをもっともっと伝え合う毎日になれたら最高。そんなことを確認したみどり保育園としての最後のたのしみ会だった。
2023年1月
元気に動く度に下着シャツがひらひらの女の子。気候の良い時期ならともかく冬は寒いだろうし、なにより身だしなみとしても見苦しい。その都度声を掛けても秋頃はなかなか身につかなかった身だしなみが、真冬の雪景色に導かれてか最近は私に背中を見せて「ほらっ!」ときちんとしまわれているシャツを見せてくれるようになった。私も思わずその背中に指で花丸を書いてやる。そんな日をすごしていたらシャツがひらひらの他の子に「出ているよ」と声を掛けてくれるようにまでなった。なんだか嬉しいな。 「ズボンからシャツ」に限らず子どもたちはちょっと教えると自然に身だしなみに気をつける習慣ができてくる。おやつ後の口の周りを鏡で確かめてウエットティッシュで拭いている光景もよく見る。1歳児までもまねて、自ら鏡に向かって行く姿は何ともかわいらしい。それらが仮に大人の手を借りないと届かないところにあったらどうか。きっと子ども自ら行動に移す気持ちは失せるはず。子ども自身が思ったことがすぐに行動に移せる環境にしておくことは、私たち職員の大事な仕事。その観点で園内を見回すと子ども目線の工夫が随所に見られ、それが子どもの自己肯定感の育ちにもつながる職員のアイディアに拍手したくなるし、保育の仕事のやりがいもここにある。 さて、新年も子ども達に負けないように身だしなみに気をつけつつ、ここは子どもを中心とする子どもの生活と教育の場であることを念頭に置いて、新園の保育が充実するように職員と力を合わせてがんばりたいと思う。
2023年2月
1月も中旬になってやっぱりやってきた大寒波。夜の間に建物が冷え切ってしまうことでそれを実感する。しかしそんな中でも子ども達は元気に雪野原に飛び出していく。冬の初めは苦慮した防寒具も徐々に着るのに慣れて手際よくなっている。
その防寒服や防寒具。昭和50年代はお母さん手縫いのはばきが良いところ。平成の初め頃はセパレーツ形のスキーウエアからつなぎの形のものが増え、最近は裏地もふかふかの、まさに「防寒」に優れたものへと変わってきた。
防寒がきちんとしてきたこともあってか、先日行われたミニかまくらの2日間は 学童クラブの小学生も含めなんと1・2歳児までも、刻々と迫る夕闇に反比例して輝きを増すローソクの幻想的な明かりに見守られながら、トンネル山から滑り降りたり雪玉を投げて走りまわったり、ついに月がきれいに輝く頃まで遊んでいた。その様子を眺めながら、かつて私が子どもの頃に随分暗くなるまで近所のお兄さんお姉さん達と群れて遊んだ光景がよみがえって懐かしさすら覚えた。年齢の違う子ども達が群れて遊び大人も楽しんで見守る素敵な光景だった。このひとときの体験が、目に映る風景が、子ども達の心の根っこに生き続けてほしいなと思った日だった。 園長 畑山玲子
2023年3月
統合が迫るなか永慶保育園・みどり保育園両園の保護者においでいただいての説明会が学童クラブを皮切りに始まっている。みどり保育園の保護者さんは当園の環境に慣れているので余裕の参加を感じるが、永慶保育園の保護者さんもにこやかに聞いてくださっていてありがたいと思っている。園舎が無くなる事へのご不満や送り迎えに時間が掛かること、勝手が違って大丈夫かなと、おそらく心配なことが沢山あるはずなので職員一同で少しでもその思いを払拭していただくために、丁寧に説明やお答えをしていくつもりでいる。 先日行われた学童クラブの説明会ではあえて駐車場係を買って出てお迎えした。車内から飛び出してくる小学生や年長さん達が嬉しそうに園舎に向かって走っていく背中に「あぶねど~!」と叫ぶ母さん達の声も追いつかないほど。それだけ子ども達の期待度を感じてこちらも感動だった。壁に張り付けてある約80体の身長10㍉ほどのミニチュア人間を探し始めるなど、早くもみどり保育園舎の楽しいからくりに気づいていた。この期待に応えられるよう子どもたちの反応に合わせて、生活空間について職員と智恵を出し続けたい。
63年間続いたみどり保育園の歴史に幕を下ろすところではあるが、まずはみどり保育園最後の卒園式は全園児・全保護者で、たったひとりの卒園児の未来を祝したいものだ。
子どもたちをみつめて -2021年ー
2021年4月
あんなにあった雪の山が暖かな春の日差しに照らされて姿を消しつつある本日、
17名の子ども達と共に新年度が始まりました。
登園直後の8時半にはすでに自分の目指す遊びに目を輝かせて取り組む子どもたち。製作コーナーで廃品でのバック作りに格闘の5歳児男児は持ち手のバランスを取るのに創意工夫中。積み木コーナーで家のようなものを協力して作っている年長女児2名。その傍らでは小さな手でアーチ型の積み木を真剣に並べている2歳児男児の姿がある。目を離さずに付いて歩く職員の先には、歩行がしっかりしてまだ日の浅い1歳児が興味の赴くままあちらこちらを探索中。色々なものに触れては、驚くことにその物を元に戻し、すでに片付けの様子を見せている。縄跳びの二重跳びに挑戦中の新一年生のそばには何人もの子どもたちがすでに上半身下着姿になって負けじと跳ねている。
自分の思いを受けとめてもらえるからこそ、子どもたちは生き生きと遊べているのです。今年度も遊び込める時間と空間をしっかり確保し「ここに生まれてよかった~本物の自然の中でたくましく育て」を保育の理念とし、怖いウイルスの感染予防に努めながらも多くの体験を積んでいく一年にしたいと思います。子ども達の育ちの中で保育園でなければ身につきにくい社会の中で生きていく力を、遊びの中で、この環境の中で育てて行くために、保護者の皆様との連絡を密にしながら15名の職員で、責任を持って保育に当たりたいと思います。今年度もどうぞよろしくお願いします。園長 畑山玲子
2021年5月
日本保育協会北海道・東北ブロック「過疎地域対策委員会」のたった一人の秋田県代表になっている私は、他県の代表の方とZOOMで何度も会議を行っている。どこも道県庁所在地を中心に待機児童がいる一方で、この地のようなところは急激な少子化に対し危惧と恐れを抱くなど2つの局面を併せ持つ。少子化に於いて、秋田県は北海道・東北ではもちろんのこと、全国でもダントツの不名誉な一番を走っており、この東由利においてはその秋田県の中でも更にトップクラスにいることがとても残念でならない。しかし、それを嘆いてばかりはいられない。いま東由利においても二つの保育園の維持よりも園を一つにという検討に入っている。子どもたちの教育・保育のためにどんな方法が良いのか模索しつつ、併せて保護者の皆様へ適切な子育て支援のありかたを考えなければならない。少子化にブレーキを掛けることは困難だが、せめて東由利の子ども達の郷土愛に満ちた生きる力を育てる教育・保育を、保育現場から発信していきたいものだ。
雪で折れた太い桜の枝は屋内に入れられぬくぬくと過ごし、すでに満開のかすかな芳香を放っている。一方自然の気温と雨風にさらされている外の桜はかなりの開きを見せ、今ようやく堅かったつぼみを膨らませ始めた。歩みはゆっくりでも地道に咲こうとする桜は、屋内の桜よりもきっと本物の色を見せるに違いない。急がず慌てずその子らしい花が咲けば良い点は、つい、子どもたちの成長と重ねて見てしまう。 園長 畑山玲子
2021年6月
最近は施設長研修の中で特にマネジメント研修中「働きやすい職場にするには」のテーマでグループ討議をすることが多い。そんなときに私は真っ先に「休みやすい職場」と答えるのだが「不真面目に働いてと言っているようなものだ」と失笑されることがある。そんな意見があっても自身の考えを変えるつもりは無い。人間、アクセルとブレーキの使い分けは生きる上で必要だから。ところで担任制をとっている当園。担任が休みの日の子どもたちへの影響はどうか。全職員が子どもたち全員をある程度の発達まで把握しクラスの枠を超えた保育をしていくため、日々のミーティングは怠らずにやっているつもりでいる。こんな保育のためか個別な対応が必須の0・1歳児は別として、成長と共に子ども達も担任に固執すること無く良い雰囲気で大人と関われているように思う。これは、これから生きていく上で子どもにとっては他の人と関わる大切なスキルとも言える。職員それぞれに個性があり、その個性と付き合うことで子どもたちも大人との関わり方を学んでいくはずだ。そして、社会で生きて行く力もそんなところからも育まれるのかもしれない。何もかも担任に依存し大人の指示を鵜呑みにしてよい子を装う子にだけはなって欲しくない。と同時に、私たち保育園職員が子どもたちにとって一番の「環境」である重要さを忘れてはならない。 園長 畑山玲子
2021年7月
数年前からの念願だった小川が、ついにみどり保育園のみどり広場に完成した。せせらぎの音を聴きながら流れる水を見ているだけで、不思議と心が躍ったり、逆に穏やかになったりする。小川が完成し水が流れ出したときの子ども達の歓声は、きっと近所の皆さんにも聞こえたのではないかと思う。小川と言っても巾は広いところで1メートル位。水深はせいぜい3センチくらいだが、安全と衛生面には十分に気をつけながら水の不思議さに気づかせていきたい。小川のそばの3段の砂場も水場が近くなったことでより生きてくるに違いない。砂は水を含ませることによって固まったり、水の入れ具合でお総菜やお菓子など、何にでも見立てられる「水育」の最高のツールになる。大小や長さの違う筒を準備しようものなら、きっと友だちと協力しながらトンネルや水路作りも始まることだろう。変化を予測して、確かめてみて、またやってみてと、砂遊びの魅力は無限に広がるに違いない。本格的な暑さの前に、園庭の駐車場近くの日よけを三段の砂場への移動も完了。 さぁ!思う存分水の不思議さや砂の感触に触れて下さい。遊んだあとのシャワーは、先生達がお手伝いを買って出るからね。
園長 畑山玲子
2021年8月
コロナウイルス感染予防から昨年は規模を縮小して行われた「みどりまつり」だが、今年は正しい怖さがわかって来ているため、まずは飲食のコーナーを無くし、感染予防に気をつけながら思い切って「みどりひろば」で開催した。個別のご招待はせず、小学校・中学校・ぷれっそにポスターを貼らせてもらっただけのお知らせ。おそらく今年は来園者も少ないはずと見込みながらも、主任が万が一に備えうちわやお土産の花火などを多めに準備した。一夏の思い出にと、ステージ部門は民謡の上手な雄征くんのおばあちゃん・中学校のブラスバンドそして秋田市からのコーラスの皆さんにお願いした。 さて当日。予想は見事にはずれ、驚いたことに例年以上に沢山の来園数で嬉しい悲鳴をあげた。特に小学生・中学生はみどり保育園卒園生以外の子も多く、特設おばけ屋敷や新しい小川、そして木製遊具で十分に楽しんでくれた。もちろんみどり保育園の子どもたちも大喜び!! 中学生は人手不足の私たちのお手伝いも買って出てくれた。園児は19名。お客さんは250名以上。その光景は東由利の子どもたちが一堂に会したお祭りのように見え「みどりまつり」がこの地域に必要とされている事を実感した。社会福祉法人が求められている地域に向けての「地域における公益的な取り組み」が、まさに受ける側と提供する側の思いが一つになったことを実感し、この上ない喜びに浸ったひとときだった。 園長 畑山玲子
2021年9月
まさかの感染拡大。登園を控えるように保護者へ連絡してとの市からの要請は、長年この世界にいる私も記憶が無い。やむなく運動会・親子登山・祖父母参観も中止とさせてもらった。子どもだけの運動会をビデオ撮影し、DVDにて成長を見てもらうことにした。新たな体験として、収穫から米になるまでの過程を広場にできあがった本物の稲架(はさ)掛けにて挑戦。遠目では見ることがあっても子どもが触れる機会が無くなってしまった昔ながらの当たり前の風景。稲架掛けの発案から24時間後には立派な稲架がもう組みあがった。ほだ木とそれ用の紐の無償提供、農協の方々・地域の方々の暖かいご好意により、発案からして24時間後には立派な稲架ができあがった。稲は近所の農家さんから戴く手はずも整った。さぁて、みどり保育園の子ども達のこと、きっとまずは登って遊ぶはず。稲は一束ずつ子ども達が田んぼから担いで持って来ることに。乾燥の様子を毎日手にとって見られる喜び。ちょっと味見もしちゃう?乾燥後の脱穀や籾すりなどの過程もできる限り見せてもらいたい。脱穀後のわらの山登りも体験させたい。そのあとのチカチカ感だって、ぜひ。お米を炊くのはお手のもの。縁側に備え付けのストーブで羽釜で炊きましょう。自身の幼少期の思い出と共に、子ども達への体験に思いを馳せているみどり保育園職員達です。まさに園目標「ここに生まれてよかった~本物の自然の中でたくましく育て~」の一環です。 園長 畑山玲子
2021年10月
急遽行うことになった稲のはさ掛け体験は、地域のお母さんのお手伝いを受けながらも学童職員や20歳代や30歳代の若い職員まで鎌での稲刈りを体験して、子どもにとってはもちろんのこと、私たち大人も廃れゆく文化に触れた良い機会になった。すでに「来年もやろうね!!」と大人達が盛り上がっている。でも子どもをそっちのけでは決して無い。この大人の盛り上がりが子ども達のやる気や興味を育てているのだ。大人が刈り取ってわらで束ねた稲束を、子ども達は一束ずつ抱えて園に持ち帰った。その道中のこと、一台の老人ホームの送迎車に出会った。思わずスピードを緩めてくれた運転手さん。車内のおばあちゃん達もみんな優しい笑顔で子ども達の様子を愛でていた。
最近は、はさの最上段までに登ろうが、あまり驚かなくなってきた保護者の皆さんや地域の皆さん。私たちも安全に遊べるように下に堅いものが無いか、子ども同士のトラブルにて思わぬ事故に発展しないか十分に目と心を子ども達に向けて気をつけている。 そんな中、朝送ってきてくれた一人のおばあちゃんが「さあ、今日は何に挑戦するのかな?」とカバンを所定のかごに入れる時間も惜しむように園庭での遊びに駆け出す3歳のお孫さんの背中に、そんな優しい言葉を掛けていた。だから子ども達も安心して様々なことに挑戦できるのです。そして、まっすぐ育っていくのです。
園長 畑山玲子
2021年11月
都会の園児数の多い教育・保育施設でここ近年3歳児以上児は敢えて年齢の枠を取り払い入り交じっての園生活を営む施設が注目されてきている。ねらいはみどり保育園がかねてから普通に行われている「大きい子は小さい子との関わりの中で、面倒見ながら教えるということで自身が学んで行く」「小さい子は大きい子のやることにあこがれ、ああなりたいと真似る模倣同期で育っていく」。 かつては地域の中でどこでも見られた生きる力の育成。今は都会でも、そして過疎地のここでも大事にされてきている「社会で生き抜く力の育ち」。 東由利は更に残念ながら地域住民も減りつつある現実の中、この地域に一つだけになる保育園に課せられるものは上記の他に多岐に渡る。 いま二つの保育園の話し合いは第2ステージに進んだ。これからこの施設をどう活用していくか。今までの「地域」の概念を東由利全体と捉え、子どもはもちろんのこと、保護者も地域の皆さんもこの場所で一緒に喜び合える施設を目指さなければならない。間もなく支所便りと共に配布される用紙にて皆さんのご意見を伺う計画でいるが、園児の家族としての思い、地域住民としての思いをぜひお知らせいただき、今までの保育園から更にみんなが憩い、生きる喜びを抱けるような、そんな保育施設になりたいと、両園で話し合っている最中だ。 園長 畑山玲子
2021年12月
11月27日(土)に行われた「たのしみ会」という名の発表会。どのクラスも日頃の保育が現れたシーンが沢山あって、ご覧になった方々も楽しかったのではないでしょうか。その中でわかりやすいシーンは1・2歳児の劇遊び「大きなかぶ」にあった。抜けた大きなかぶをどうする?と投げがけた言葉に「ほうちょうで切る」と言ったかと思ったら急いで部屋まで走って行って包丁を持ってきた2歳児。「切ったカブをどうやって食べる?」と聞かれて「お皿で」と答えた1歳児も2歳児をまねてかお皿を取りに部屋まで駆けて行って、微笑ましい笑いを誘った。もちろん想定外。その中で「取りに行って来て」の担任の指示も、「行ってきていい?」と聞く子もいない。日頃、自分の考えを認めてくれることを知っている子ども側と、子どもたちのやろうとすることを理解し見守っている大人側の信頼関係が合致している証拠だ。上手な発表が目的ではないので、日頃の保育をこんなシーンでご覧いただけたことに喜びを感じた。終盤のおじいちゃんおばあちゃんたちの職人芸に近い「繩ない」にも感動した。新米の稲わらで作る冬の間の大切な作業。この地でずっと引き継がれてきたこの本物の文化を、今度は私たちが継承しなければならないと心から思ったシーンだった。
園長 畑山玲子
2022年1月
2022年2月
2022年3月
子どもたちをみつめて ー2020年ー
2020年4月
園だより 4月 畑山
縁側を覆っていたブルーシートも取り除かれ、まだやや冷たさの残る春の風がちょっとだけ開け放された窓から新しい風を運んでくれる。6名の卒園児が元気に羽ばたき、その後定員を20名に下げたみどり保育園だが、新しく入園した2名を迎え21名で元気にスタートした。人数が少ない分、きめ細かな保育が出来ることだろう。
進化しつつある「見守る保育」は、「見ているだけ」ではなく子どもが食いつくように遊びを仕掛けていく保育も加わってきた。子ども達の心や意欲や好奇心や探求心をくすぐる保育は何か。子どもたちがやり切った満足に浸りそれが次の挑戦へと結びつく、自己肯定感に溢れる保育とは何か。遊びの空間としては他に類を見ない園内外の環境の中で、保護者の皆様と共に子育てのお手伝いが出来ることに喜びを感じている。ご家庭では今まで通り十分な愛情でふんわりと包んであげてほしいものです。令和2年度、コロナウイルス感染症に気を配りながらも、参観日も楽しんで行きましょう。みどり学童クラブも同じように、様々な体験を提供したいものです。1年間、よろしくお願いします。 園長 畑山玲子
2020年5月
2020年6月
2020年7月
2020年8月
2020年9月
2020年10月
2020年11月
2020年12月
2021年1月
「手仕事」
哲学博士のシュタイナーが考案した「シュタイナー教育」。「手仕事こそが知性」というシュタイナーの言葉通り「手仕事遊び」には手先の器用さだけでなく、集中力、知的能力の土台、そして一端始めたら途中で止めてはいけないというルールによって、忍耐力も身に付く。つかむ、ちぎる、にぎる、ねじる、折るなど、巧みに指先を使う能力は、スマホの普及によって現代人が失いつつあると言われているが、それでも、幼少期からきちんと手仕事の体験を積むことで、常に創造的に何かを生み出せる人間でいられると思う。そしてそれは確実に生きる力に繋がるはず。
みどり保育園では毎年雪に閉ざされるこの時期に、沢山の手仕事遊びを準備している。葉書より少し小ぶりの紙に刺繍糸で刺繍していく紙刺繍、映画「君の名は」でお馴染みの組紐、毛糸で編む指編み、ビーズ、そして年長児だけが取り組む“権利”のある機織りなど。どれも挫折しそうになる気持ちを自身でコントロールして、気長に何日も掛けて完成を迎えなければならないが、苦労するほど大きな達成感に繋がっていくのだ。豪雪の兆しが見えるこの冬は、じっくりゆっくり、職員も一緒に手仕事遊びに取り組みたいものだ。その成果をぜひ玄関に飾ってお見せしましょうか。出来映えの良さではなく、取り組み続けた証を、ぜひ評価してもらいたいです。
園長 畑山玲子
2021年2月
2021年3月
どうせこの地には無縁と、最初は達観視していた新型コロナウイルス感染症。振り返ると、この過疎地にあるこんな小さな保育園でさえとても振り回された1年だった。しかし、地域の皆さんとの体験を積む中でたくましい気持ちや豊かな心を育てたいという思いを貫き、今年度は「地域の皆さん」の代わりに職員が大奮闘した。出来ないと嘆くのでは無く「やる!」を前提に。 寅田さんとの貴重な自然体験はお休みしたが、広い園庭と木々や畑と隣の田んぼの実り、そして土手の水辺や虫等を利用して、十分に興味をかき立てさせた。笹巻き・ほの葉ご飯は今まで教わって来たことを、職員が代わってちゃんと伝えられた。縁側を利用した苦肉の策の朝と帰りの受け渡しは、コロナ対策以上に、子どもたちの遊び時間が増えるという利点に結びついた。保護者は園舎に入れない矛盾だらけの対策は、正しく怖がりながら今後どんどん見直していきたい。園内は変わらずに子どもの育ちに繋がる世界が広がる。規律ある中にも自由な発想を重んじてくれる職員と共に、子どもたちの成長を確認し、次年度の保育に繋げたい。
「先生は宇宙人って存在すると思う?僕は確かにいると思っている。想像すると楽しいよね。」4歳男児の言い回しに成長を感じ嬉しい朝である。出生数の少ないこの地ではあるが、目の前のこの子たちのために必要なことを見極めて、成長のお手伝いとなるよう、みどり保育園ならではの保育を貫いていきたいと思っている。
今年度もご協力いただきありがとうございました。 園長 畑山玲子